チビラも二歳になった。
子育てはなんとか無事に離陸し、安定軌道に乗せることができた気がする。
そして猛然と、「小説を書こう」という気持ちが湧いてくる。価値観をはっきりさせる人生こそが大切だと強く思う。
バカでがむしゃらで楽しいことを必死で追求する自分の姿を、そのまま息子に見せたいとも思う。子が育つと同時に私もまた、日々新たな気持ちで生まれ変わっていく―。
よしもと ばなな
1964(昭和39)年、東京生れ。日本大学芸術学部文芸学科卒。’87年「キッチン」で「海燕」新人文学賞、’88年単行本『キッチン』で泉鏡花文学賞、’89(平成元)年『TUGUMI』で山本周五郎賞をそれぞれ受賞。海外での評価も高く、イタリアのスカンノ賞、フェンディッシメ文学賞を受賞。『アムリタ(上・下)』(紫式部文学賞)『不倫と南米』(ドゥマゴ文学賞)など著書多数。2002年8月の『王国その1アンドロメダ・ハイツ』刊行より、「吉本ばなな」から「よしもとばなな」に改名した